アヒルと鴨のコインロッカー <伊坂 幸太郎さん>

<アヒルと鴨のコインロッカー> 感想
この小説を初めて読んだ後に、映画を見た。テレビでの映画放送も見た。
そのためか、今、改めてこの小説を読むと、濱田岳さん、瑛太さん、松田龍平さん、
大塚寧々さんのイメージで読み進めていってしまう。
でも、本当に、映画と小説のイメージがぴったりで、うれしくなる。

小説を読むのも2回目、映画も2回見た、ということになると、
当然、結末を知っていて読むことになる。
そうなると、セリフのひとつひとつが、とても気になる。
初回に読んだときは、何となく読み流してしまっていたなあ、と気づくことが多い。

伊坂さんの小説は、そういうパターンが多くて、2度目、3度目も
別の楽しみ方ができるところが好き。
特に、この「アヒルと鴨のコインロッカー」は、再読すると面白い。

初回に読んだときは、(そういうことだったの?)と、ドンデン返しに唸ったけど、
再読すると、(あら、こんなところにキーワードがあるじゃない)って、思う場面が
ちりばめられていることに、唸ってしまう。

----------------------------------------------

<アヒルと鴨のコインロッカー> あらすじ
大学入学のために、椎名は仙台に引っ越してくる。
すると、アパートの隣に住む「河崎」と名乗る男性から
「一緒に本屋を襲わないか」と誘われる。本屋を襲って「広辞苑」を盗むという計画。

この、(現在)の椎名が語る話と、
(二年前)を語る琴美の話が交互に進んでいく。

二年前に、仙台でペット殺し(虐待)事件が多発していたのだ。
そして、琴美は、ブータン人のドルジと一緒に暮らしていた。
そこへ、琴美の元交際相手の河崎が現れ、ドルジに日本語を教える。

現在と二年前が、最後には、うまく噛み合うところが圧巻。

主な登場人物
  椎名 (大学生)
  河崎 (琴美の元交際相手)
  琴美 (ペットショップ店員)
  ドルジ (ブータン人)
  麗子 (ペットショップの店長)

----------------------------------------------

<アヒルと鴨のコインロッカー> 好きなことば

「アヒルと鴨のコインロッカー」
この小説の中にも、いいことばだなぁと思うフレーズがたくさんあった。
それを、ここに残しておきたいと思う。

----------------------------------------------

(P51)

「裏口から悲劇は起きるんだ」


この言葉は、この小説のキーワードでもあるんだけど、何かカッコいいセリフだ。

---------------------------------------------

(P230)

「子供ができて、悩んで、死ぬなんて、ダサすぎだよ。
というよりもさ、子供が十六の時、君は三十二だよ。
それ、すごく恰好良くない?」

これは、本心から言った。


この言葉を、ちょっと気が弱い椎名が言うところが、またいいんだよなーって思った。


---------------------------------------------

(P357)

「僕たちは神様を閉じ込めてみたんだ。」


神様、ちょっとの間だけ見ないでいてください、
そう言って、悪いことをしたくなる・・・・だから神様を閉じ込める。
でも、やっぱり、そんなことできないんだよね。
だから、単なる儀式、代用品で誤魔化してしまう。
つまり、「閉じ込めてみたんだ」という言葉で表現されることになる。

でも、人って、それで安心しちゃうんだよね、きっと。
たまには、神様を閉じ込めたくなる気分になるよね、それが人間の本音だと思う。

---------------------------------------------


<アヒルと鴨のコインロッカー> 作品間リンク
「アヒルと鴨のコインロッカー」を再読。「作品間リンク」
----------------------------------------

(1)P84

田村蕎麦。駅の向こうの公園脇にあるからよろしく」


こう言って、信号待ちをしている椎名に話しかける男性。
この「田村蕎麦」の店主の男性は、「重力ピエロ」で、落書きの被害にあっている。

-----------------------------------------

(2)P46
・・・(中略)横浜に住む叔母がよくいう台詞だ。まだ若く、颯爽とし、スタイルの良い叔母は、僕のお気に入りの女性でもあったので、その教えにはなるべく従うようにしている。

(2)P249
たぶん、祥子叔母さんさんが喫茶店を経営しているからだろう。
響野という少々変わった旦那さんと、夫婦でやっている。



この「響野」は、「陽気なギャングが地球を回す」に出てくる銀行強盗だと思う。
なので、椎名の叔母さんは、その響野と妻だと思われる。、

-----------------------------------------

(3)P147

どういうわけか、シンナーの匂いがした。左右を見る。
この近くに、壁に落書きをする人間でもいるのだろうか。



この壁に落書きをする人間は、「重力ピエロ」の春ではないかな。


-----------------------------------------

(4)P389

「あれ、レッサーパンダだ」と言った。・・・(中略)
「盗んだんだよ、あの子たちは」


という、動物園からレッサーパンダを盗む、きょうだいの話がある。
「フィッシュストーリー」の「動物園のエンジン」の中に、「レッサーバンダ」の看板だけがあり、「前までレッサーパンダがいた」が、今はいないというくだりがある。

「アヒルと鴨のコインロッカー」の中に出てくる動物園は、この動物園と同じかもしれない。

-----------------------------------------

(5)広辞苑

「ポテチ」(フィッシュストーリー)の中に、
大西が、「本屋に行って広辞苑を盗むわけでもあるまいし」と言うくだりがある。

-----------------------------------------



●ライブラリースタイル*紙飛行機ドットコム●
Copyright(c)2009 kirara All rights reserved.
Illustration by ふわふわ。り. Base template by WEB MAGIC.